鹿島一谷について
鹿島一谷(かしま いっこく)は昭和~平成時代にかけて活躍した彫金家で、重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)としても有名です。
鹿島一谷は、代々彫金を行っている家庭に生まれ、幼い頃より祖父や父から布目象嵌の技術を受け継ぐため技術を学びました。祖父と父からだけでなく、関口一也・真也父子、北原千禄、人間国宝で彫金家の海野清にも師事し、着々と彫金家としての実力を養っていきました。
20歳になり独立するとますます彫金に励むようになりました。独立後、1929年の第10回帝展に出品した「焔文様金具」が初入選を果たし、1949年の第5回日展では「金工水牛文花器」が特選を受賞し、多くの人から注目されるきっかけになったといえます。
鹿島一谷の代表的な作品には初入選の「焔文様金具」の他、「露草布目象嵌水指」や保存修理に携わった唐招提寺蔵の国宝「金亀舎利塔」などがあげられますが、これら以外にも数多くの素晴らしい彫金細工を生み出してきました。
1955年には日本工芸会正会員となり、1979年には重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)に認定されるなど輝かしい成績を多数収めます。絵文様が繊細なだけでなく、伝統の中に現代要素が反映されている彼の作品は、現在に至るまで多くの人から高く評価されてきました。シンプルながらも味のある彫金、独創的な発想をもとにつくられた制作物も非常に多く、見る人を飽きさせない作品ばかりだと言えます。そのため、鹿島一谷が手がけた彫金細工は現在でも人気が高く、購入を希望する愛好家や一目見たいと考えるファンが非常に多いです。現在、鹿島一谷の作品は主に東京国立近代美術館に所蔵されています。
略歴
1898年 | 東京市下谷に代々彫金を家業とする家の長男として生まれる |
1918年 | 20歳で独立 |
1929年 | 第10回帝展で「焔文様金具」が初入選を果たす |
1949年 | 第5回日展で「金工水牛文花器」が特選を受賞 |
1955年 | 日本工芸会正会員となる |
1979年 | 重要無形文化財「彫金」保持者(人間国宝)に認定 |
1996年 | 逝去。享年98歳 |