各務鑛三について
各務鑛三(かがみ こうぞう)は、明治~昭和の時代に活躍したガラス工芸家です。カガミクリスタル創業者としても広く知られています。ガラス工芸の権威である岩田藤七と並び、日本のガラス工芸の伝統を大きく発展させた人物です。
ガラス工芸家として名をはせた各務鑛三は、ドイツでその技術を磨きあげました。彼が台頭してきた当時は、まだ日本におけるガラス工芸は形を成していませんでした。芸術と呼べる領域には程遠く、彼が所属していたのも満州鉄道関連の会社でした。
しかし、彼はそこで人生を終えることを良しとせず、クリスタルガラスの可能性を広げたいと考え1927年にドイツに留学し、グラヴィール彫刻の加工技術を学んで2年後の1929年に日本に帰国します。
帰国後は、「各務クリスタル工芸硝子研究所」を滝野川に設立し、その後、第13回帝展では初入選を果たします。1934年には東京市蒲田にのちのカガミクリスタルとなる「各務クリスタル製作所」を設立します。そしてドイツから持ち帰った「グラヴィール技法」を使い、さまざまな作品を世に送り出していきました。各務クリスタル製作所では、日本初の試みである原料ガラスの製造から製作、販売までを一貫生産しておこなう一貫生産設備工場を整備しています。
1937年にパリ万国博覧会で銀賞を受賞し、続けてブリュッセル万国博覧会では名誉賞を受賞します。1960年には日本芸術院賞をとるなど、その後も輝かしい成績を多数収めます。1962年になると黄綬褒章を受章し、1981年には紺綬褒章も受章しました。
略歴
1896年 | 岐阜県土岐郡笠原町に生まれる |
1913年 | 愛知県立瀬戸陶器学校を卒業 |
1917年 | 同校窯業科嘱託教員を務める |
1920年 | 南満州鉄道窯業試験所に入所 |
1927年 | ドイツに留学 |
1929年 | 帰国 |
1930年 | 東京市滝野川に「各務クリスタル工芸硝子研究所」を設立 |
1932年 | 13回帝展で初入選を果たす |
1934年 | 東京市蒲田に「各務クリスタル製作所(のちのカガミクリスタル)」を創設 |
1937年 | パリ万国博覧会で銀賞を受賞 |
1939年 | ニューヨーク万国博覧会で名誉賞を受賞 |
1953年 | 芸術選奨文部大臣賞を受賞 |
1958年 | ブリュッセル万国博覧会でグランプリを受賞 |
1960年 | 日本芸術院賞を受賞 |
1962年 | 黄綬褒章を受章 |
1966年 | 勲五等双光旭日章を受章 |
1981年 | 紺綬褒章を受章 |
1985年 | 死去。享年89歳 |