帖佐美行について
帖佐美行(ちょうさ よしゆき)は昭和~平成の時代に活躍した鹿児島県生まれの彫金家です。文化勲章受章者としても知られていて、本名は良行です。
1915年に誕生し、15歳で小林照雲、25歳で海野清から彫金技術を学びました。彫金家として優れている人物に師事したことによって帖佐美行は着実にステップアップすることができたと言えます。その結果、27歳のときに第5回新文展で「銅芥子文花瓶」が初入選となり、戦後は日展への出品に力を入れ、1954年には第10回日展に出品した「龍文象嵌花瓶」が特選に選ばれました。1955年の第11回日展でも特選となり、その2年後には日展審査員にも任命されています。
帖佐美行は、日本金工作家協会の結成にも力を尽くし、1962年には現代工藝美術家協会結成にも関わりました。後には日本芸術院賞や文部大臣賞を受賞し、日本芸術院会員や日展常務理事を務めたり、日本新工芸美術家連盟の結成に参加するなど、輝かしい成績を多数収めます。1987年には文化功労者となり、1993年には文化勲章も受章しました。
帖佐美行の代表作には、文部大臣賞を受賞した「牧場のある郊外」、日本芸術院賞を受賞した「夜光双想」や「青龍」、「白鳳凰」などをあげることができます。建築装飾技術も素晴らしく、そちらの分野でも大いに活躍しました。宮内庁より新宮殿のために依頼され、「和讃想」という彫金壺も制作しています。
フランス政府の首相へ作品を贈呈したり、海外で個展を開催したりなどの経歴があることから国内だけでなく、海外でも高く評価されていました。現在では宮内庁や日本赤十字社、伊勢神宮や東京国立近代美術館を始めとする様々な場所に主要作品が所蔵されています。
略歴
1915年 | 鹿児島県に生まれる |
1930年 | 彫金家「小林照雲」に師事 |
1940年 | 彫金家「海野清」に師事 |
1942年 | 第5回新文展に出品した「銅芥子文花瓶」が初入選 |
1954年 | 第10回日展に出品した「龍文象嵌花瓶」が特選 |
1955年 | 第11回日展に出品した「回想銀製彫金花瓶」が特選 |
1957年 | 日展審査員を務める |
1962年 | 第5回新日展に出品した「牧場のある郊外」が文部大臣賞を受賞 |
1962年 | 現代工芸美術家協会の結成に参加する |
1965年 | 「夜光双想」が日本芸術院賞を受賞 |
1969年 | 日展理事となる |
1974年 | 日本芸術院会員となる |
1975年 | 日展常務理事となる |
1978年 | 日本新工芸美術家連盟を結成し代表委員に就任する |
1980年 | 奈良の東大寺昭和大修理落慶奉納に際し、作品「青龍」「白鳳凰」を献納 |
1982年 | 日本新工芸家連盟会長に就任 |
1984年 | 皇居新宮殿のために「和讃想」(彫金壺)を制作 |
1987年 | 文化功労者となる |
1993年 | 文化勲章を受章する |
2002年 | 死去。享年87歳 |