渡辺崋山の買取価格は高額です

渡辺崋山について

三河国田原藩士の父を持つ渡辺崋山は、江戸詰だった藩邸内で長男として生まれます。当時の田原藩は財政難に陥り、父も病弱という時期。大叔父である平山文鏡から画の手ほどきを受けた崋山は、絵を内職にしながら藩を支えるという少年時代を過ごします。17歳のときに南画家の金子金陵を師事すると、持ち前の才能を開花させていくことに。また、同じ田原藩士の鷹見星皐から儒学を学んだのも、この時期です。

20歳のころには、金子金陵の師にあたる谷文晁からも教えを受け、20代半ばで画家としての名声を手に入れます。ところが一転、崋山は学問に長けていたことから、田原藩主三宅家の首脳陣に抜擢。30代後半までの間、藩主の側近として仕えていくことになります。また、当時は天保の飢饉で真っただ中にあったものの、崋山の知恵と尽力により餓死者を出さなかったとして幕府から表彰された逸話も有名です。

一方、崋山が生きた時代は開国を目前にした幕末期。長らく続いた鎖国に対する批判を皮切りに、全国で討幕運動が盛んになっていった時期です。崋山も高野長英らがいる蘭学者グループに参加し、蛮社（蘭学者集団）として開国に向けた主張をしていきます。ところが、幕府の対外政策を批判した私文書「慎機論」が明るみになり、高野長英らも迫害を受けたことから騒動に発展。これら一連の言論弾圧は歴史的な事件として、「蛮社の獄」と呼ばれています。江戸から追放された崋山は、故郷である田原藩でも幕府からの圧力を受けたことで藩主の身の危険を案じ、自ら命を絶つことに。それから20年も経たないうちに国政は一変。ペリーの黒船来航に触発されて開国に向けた機運が高まり、安政の大獄により200年続いた鎖国制度も廃止されました。