程十髪の買取価格は高額です

程十髪について

1921年に上海市金山区で生まれた程十髪（程十发）。3歳で同市松江区に移住し、5歳から医者であり書画を嗜む父の薫陶を受けて育ちます。8歳のときに父を病気で亡くすと、母が絆創膏を売って生計を立てることに。14歳でキリスト教系の光启中学に入学すると、魯迅の小説を題材にした絵本の創作をはじめます。しかし17歳のときに、学校が日本軍によって爆破。翌年に上海美術専門学校に入学し、本格的に絵画を学んでいきます。また、教師である李仲乾から、中国古代の測定単位「発・程（10発が1程に相当）」にちなみ、程十発を号された学生時代でもありました。本名は程潼。

21歳になった十髪は、美専時代の同窓生であり西冷印社代表の姪にあたる張金锜と入籍。その後、上海工業銀行への入社を経て、活躍の場を上海華東人民美術出版社に移します。美術創作員として絵本の編集を担当する傍ら、自身の無力さと闘争を反映したキャラクターを漫画やイラストに描いていったのも同時期のことでした。30代半ば以降は、上海中国画院の講師就任を皮切りに、全国青年美術展での最優秀賞の受賞、全国紙芝居コンクールで2等賞に入るなど、絵師としての実績を高めていきます。還暦を迎えた1980年には、水墨动画（水墨アニメ）「鹿鈴」も制作。その3年後に開かれた第13回モスクワ映画祭で、「鹿鈴」が最優秀アニメ賞を受賞し、程十髪の名は世界に知れわたることに。

晩年は、孫ほども年の離れたプロサッカー選手である武磊を支援。かつて武磊が所属していたチームの監督・徐根宝と懇意だったことから、若きストライカーを紹介されます。武磊の心の優しさに惹かれた十髪は、本当の祖父のように接したそうです。貧しい家庭に育った武磊は、そうした十髪のサポートもあり、現在ではスペインリーグで活躍しています。一方、2014年に香港で開催されたクリスティーズオークション（2014佳士得拍卖in香港）では、1979年作の「补衮图」が約9400万円（600万中国元）で落札。十髪作品の価値は、いまだ上昇を続けています。