沙孟海の買取価格は高額です

沙孟海について

1900年に浙江省寧波市鄞州区で、漢方医の長男として生まれた沙孟海。幼少期に家庭教育で篆刻を覚え、同市内にある慈溪錦堂学校を経て、浙東第四師範学校に入学します。卒業後は上海で家庭教師をしながら、憧れの存在であった康有為や呉昌碩ら書家の大御所と接触していった孟海。大先輩との出会いは、孟海の書道と篆刻に深い影響を与えていきます。

25歳の時、中国の老舗出版会社に入社した孟海は、仕事の傍ら、上海の有名詩人「冯君木」や革命党の文学者「陈屺怀」から古文学を学んでいきます。また、中国最後の文化人といわれる「呉昌碩」や儒学の3大聖人「馬一浮」から、書道および篆刻の指導も受けました。そうした孟海の活動を知った書芸の達人「章炳麟」は、自身が刊行する「華国月刊」に、孟海の金石文字を掲載します。このことがきっかけとなり、孟海は名声を得ていくことに。その後、28歳の時に浙江省の役人として登用され、29歳で国立中山大学預科国文学の教授に任命されます。

30代以降は、着々と地位を固めていった孟海。31歳で歴任した南京中央大学の教育部と交通部の秘書を皮切りに、浙江大学中国文学部の教授、浙江省美術学院の書道・篆刻専門教授など、教育者として尽力します。晩年には、西冷印社の社長就任をはじめ、浙江省博物館名誉館長や中国書家協会名誉理事といった、文化人として中国美術界を支えました。そうした孟海の功績が認められ、1992年には鄞州区人民政府により、東銭湖畔に沙孟海書学院が建てられています。しかしその4ヶ月後、孟海は他界。文革後期（1970年代）に培った大量の古代名跡の模写が、孟海の創造力をより高めたといわれています。