陸儼少の買取価格は高額です

陸儼少について

陸儼少（陆俨少）は1909年、江蘇省嘉定県（現在は上海市嘉定区）に生まれます。6歳から絵を描きはじめ、7歳で地元の嘉定県第四国民小学校に入学。その後、翔公小学校に転校し、県立第二高等小学校を卒業します。14歳で上海澄衷中学校に進学すると、中国画や古典文学、書道、篆刻を学んでいきました。18歳になると、無錫美術専門学校で本格的に国画の技術を修得していきます。教師の王同愈から詩文や書道を学ぶ傍ら、その伝手で紹介された山水画家・馮超然に師事。また、超然と親交を持つ国画の大家・呉湖帆からも手ほどき受けることに。

美専卒業後は、結婚をはじめ抗日戦争の勃発による疎開、父の死や喘息に苦しむなど、紆余曲折の20代を過ごします。30歳になった儼少は、兵工場の秘書室や農場の事務員をしながら、重慶で個展を開催。この個展を通して、反内戦や保守的な思想を持つ政治家兼画家である、沈鈞儒や陳樹人らとの交流を深めていきます。抗日戦争が終わり故郷に戻った儼少は、39歳の時に無錫で個展を開き、地元の江浙エリアを中心に名声を得ていきました。45歳の時には、かつて日本の植民地だった上海で、初の大型展覧会が開催され、儼少作の「雪山探査」が好評を博しました。

その5年後に反右派的革命画の創作に取り掛かるも、新政権から批判の対象になった儼少。文化大革命に突入した1960年代以降、自身の創作スタイルや活動を非難され続けます。1976年に文革期を終えると、翌年の1977年に儼少は創作の最盛期を迎えます。南京の東に位置する井崗鎮（安徽省合肥市）を題材にした風景画を手がけたほか、雁蕩山を描いた作品も多く残しました。雁蕩山は浙江省の南東にあり、東シナ海に沿って連なる名瀑を有する景勝地。雁蕩泉石図をはじめとする、儼少の傑作と呼び声高い作品が数多く存在します。

一方で儼少といえば、晩年に手がけた杭州と湖州の中間に位置する「上柏山」の絵が有名です。武康鎮の福慶寺にそびえる上柏山を題材にした作品は4点しかないとされ、2006年の春に香港で開催されたサザビーズオークション（香港苏富比春季拍卖2006年春）で日の目を見ました。また近年では、上柏山作品とは別に開催された、虚懐斎蔵画絵画展での特別興行オークションにて、山水画「山河胜揽」が約2億円（1322.5万中国元）の高値をつけたことでも知られています。