王雪濤の買取価格は高額です

王雪濤について

1903年に中国華北地区の河北省固安県で生まれた王雪濤。幼少期のころから絵を描くことが好きな少年で、同省の保定高校に入学すると、その才能を発揮していきます。卒業後は北京国立芸術学院（現在の中央美術学院）への進学と同時に、小学校で絵を教えるほどの腕前だった雪濤。のちに同学院の講師や教授を歴任するなど、教職の道へ進むきっかけとなったのもこの時期でした。在学中には、中国のピカソと評される「斉白石」が教壇に立ち、雪濤もその教えを受けています。白石から本格的な文人画を学んだ一方で、西洋絵画の基礎も築いていった学生時代でした。

卒業後は自ら母校で教鞭を執った雪濤ですが、日中戦争で彼の人生は転機を迎えます。反日イズムを理由に北京国立芸術学院の教師を辞任すると、新国家が設立する時期まで絵画の創作や個人教育といった活動を独自に展開。雪濤のアイデンティティは純粋なプロの画家志向に変わり、新しい美術の概念を取り入れるべく試行錯誤を繰り返し研究していきます。そのなかでも、雪濤の創作スタイルを大きく変えることになったのが、第二次世界大戦末期における国内の社会情勢です。

当時の中国は内戦が続く変革期であり、絵画市場も不況に陥った激動の時代。そうした影響から絵画の売買モデルも大きく変わり、画家が画家の絵を買う、あるいは画家と画商が友好関係を築くなど、いわゆる“もてなし”と呼ばれる、従来の中国にはなかったホスピタリティの精神が根づいていきます。雪濤も多くのパトロンと交流を深め、北京を中心に絵画や書道の展覧会を開催していきました。1950年代中盤から交流の間口を海外に広げ、それ以降、国内外での創作に専念していった雪濤。晩年には、現在も東京を拠点に活躍の場を世界に向ける中国人画家、楊永琚を指導したことでも知られています。