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潘天寿について

1897年に寧海県冠荘村で生まれた潘天寿。6歳で母を亡くし、同年の夏には村の私立学校に入学します。授業とは別に字を書くことが好きだった在学時。「三国志演義」や「水滸伝」などの小説挿絵の模写もしていたといわれています。そこから浙江省立第一師範学校を経て、地元の小学校に教諭として着任。独学で絵画や書道、詩、篆刻も修得していきます。

26歳で上海女子作業学校に赴任すると、同年に上海美術学院中国絵画学科の中国絵画実習クラスおよび理論クラスを兼任。同時期には呉昌碩（吴昌硕）をはじめ、王一亭や黄賓虹といった中国画の大家とも知り合います。また、本名である天授を天寿に改名したほか、自身の作風を呉昌碩に寄せていったのも、この時期のことでした。32歳になった天寿は、生涯を終えるまで過ごすことになる杭州市に定住します。同年には、杭州国立芸術院から中国画の主任教授として招かれます。

以降、美術教育のキャリアを積み上げていった天寿。その一方で徐悲鴻がフランスで主催した「中国近代絵画展覧会」に出品したり、「中国書道史」を作成するなど、書画ともに活動の場を広げていきます。1944年からは約3年間にわたり、重慶市にある国立美術大学で校長も務めました。天寿の歴任中には、のちの書画界で頭角を現す李可染が美術教師として赴任します。天寿は可染の作品やスタイルを称賛した一方、可染は天寿の教育思想などを大きく批判していたといわれています。その後、文革期への突入で、天寿の人生も大きく変わっていくことに。

文革期直前の1965年、約10年前から刊行されていた「毛主席の文芸活動に対する重要な指示」という自身の著作が、政府の非難の的になります。翌1966年の文革期元年に投獄された天寿は、3年間にわたり牛舎に監禁。最晩年は寝たきり生活となり、1971年にこの世を去っています。1967年には、李可染が国立美術大学での一連を綴った告発資料を提出したことで、天寿を非難する声が明るみに出ました。

2017年には北京中国美術館と人民大会堂で、「潘天寿生誕120周年記念活動」が開催。偉大な芸術家および、芸術教育者としての思想を後世に広める大規模な活動が繰り広げられました。2019年春に開催された嘉德オークション（中国嘉德拍卖2019春）では、潘天寿の力作と名高い「午睡」が約4億6000万円（2932.5万元）で落札されています。中国の有名起業家である馬雲（马云）が落札したことで、一躍話題に上りました。