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奈良美智について

奈良美智は1959年に青森県弘前市で、3人兄弟の三男として生まれます。18歳で地元の弘前高校を卒業すると、上京し1年の浪人期間を経て武蔵野美術大学に入学。同大学を1年で中退したあと、2年後に愛知県立芸術大学に入学して同大学院を修了するまで在籍します。油絵画家として独り立ちすると、1988年にはドイツ国立デュッセルドルフ芸術アカデミーに入学。そこで東ドイツを代表する現代美術作家・A.R.ペンクに師事します。1993年に、同アカデミーで日本の大学院修士課程にあたる「マイスターシューラー」を取得し卒業。そこから約6年間、ドイツ・ケルンを拠点とし、制作活動を行いました。

12年間に及ぶドイツでの生活から帰国した2000年、奈良の世界に向けた個展活動がはじまります。2001年に横浜美術館など国内5か所で開催された大規模な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」を皮切りに、2006年に青森県立美術館の巨大オブジェ「あおもり犬」を手がけ、2007年にはオランダにあるデン・ハーグ市立美術館での個展も成功させました。一方で2005年以降の奈良は、栃木県那須塩原市を制作の拠点としています。「N’s YARD」と名付けられたアトリエには、未発表の作品が多く展示されているほか、巨大な白の野外彫刻も有名です。

2009年には、ニューヨーク・マンハッタンの駅構内にて、手のひら大ほどの落書きをした件で、逮捕されるハプニングも（24時間後に釈放）。しかし翌年には、アメリカの文化に貢献した外国人出身者として、奈良はニューヨーク国際センター賞を受賞。アジア人では、世界的な音楽家のヨー・ヨー・マに次ぐ受賞という快挙でした。また、奇しくも同じマンハッタンにて、バーの壁に落書き風の作品「ナイフ・ビハインド・バック」を残したのも2009年のこと。この作品は、10年後の2019年に香港で開催されたサザビーズ・オークションにて、奈良の自己ベストを更新する「約27億円」という落札額を記録しました。

そんな2019年は、奈良にとって節目の1年となります。東京国立近代美術館で開催された「高畑勲展」に、24点もの奈良のドローイング作品が展示され話題を呼びました。12月には、東京渋谷のライブハウス・LIQUIDROOMで、奈良の還暦を祝うイベント「N’s 60 -YOSHITOMO NARA 60th BIRTHDAY PARTY-」も予定されています。