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村上隆について

1962年に東京都板橋区で生まれた村上隆は、幼い頃からアニメが好きな少年でした。豊島区内の本郷高校を卒業後、2年間の浪人生活を送ります。その時期は宮崎駿作品に憧れてアニメーターを目指すも、あえなく挫折。日本画を学ぶために、東京藝術大学の日本画科に進学します。そのまま大学院まで進み、次席で卒業。このとき主席で卒業することで日本画家へ進む道を決めていたため、自身に律し路線変更を決断します。

卒業後は現代美術のジャンルを選び、3年の月日をかけ個展「TAKASHI,TAMIYA」でアーティストデビューを果たします。同年には立て続けに「ランドセル・プロジェクト」も展開。従来のランドセルとは一線を画す、ダチョウやコブラといったワシントン条約で取引が禁止された動物の皮革を用いて、当時の話題をさらいました。その2年後には、東京芸大で博士号も取得。日本画科で初めての博士号として、名声を高めていくことに。翌年には世界最大規模とされる慈善事業団体・ロックフェラー財団に認められ、ニューヨークで滞在生活を送ります。

活躍の場をアメリカに移した村上は、カリフォルニア大学での客員教授や展覧会「スーパーフラット」の成功など、海外での地位も築いていきます。日本でも2001年に自身が企画や運営を務める「カイカイキキ」を立ち上げ、創作の幅を広げていきました。なかでも花をモチーフにした作品は、村上のデザインシンボルであり、カラフルな花びらの中央に描かれた笑顔が特徴的な愛くるしいキャラクターです。ぬいぐるみや布地のブローチ、ストラップ、スマホケース、キーホルダーなど、現在もさまざまな形でグッズ化されています。自身も雑誌対談にて、「花からちょっと離れてみて、インスピレーションを受けるために他のモノに目を向け、また花の作品に戻る、ということが必要な時もあります」と語るほど。2002年にルイ・ヴィトンと長期契約を結んだ際には、花を取り入れたコラボレーション作品が評価され、さらなる名声を獲得しました。その後も花は、ドラえもんとのコラボ展示や歌手・ゆずのアルバムジャケットに使われ、多くのカルチャーシーンで姿を見せています。

近年も話題に事欠かない村上隆。2008年にはサザビーズオークションで等身大フィギュア「My Lonesome CowBoy」が約16億円と高値を記録し、多くのメディアに取り上げられました。2016年にも中野ブロードウェイに新展開させたスナック風のオフィスが、SNS上で「おしゃれ」「ギャップがいい」と話題に。2019年にはスター・ウォーズシリーズ完結編にカメオ出演したことで、再び世間の耳目を集めます。同作品の監督を務めるJ・J・エイブラムスが、イベント会見で村上について触れたことで出演が発覚。村上も後日、ツイッターでエイブラムスとの馴れ初めについてつぶやき、世間を驚かせました。今後のアーティスト活動はもちろん、サブカルチャー的な話題の提供にも目が離せない存在です。