趙無極の買取価格は高額です

趙無極について

1921年に北京で生まれた趙無極。銀行員である父・趙漢生のもと、趙家が代々にわたって定住する鎮江市丹徒区で、7人兄弟の長男として育ちます。無極が油絵に興味を示したのは10歳の時でした。パリにいる叔父が、絵葉書を持ち帰ったことがきっかけといわれています。14歳で国立杭州美術大学に入学すると、油絵画家の実力者と呼ばれた教師陣、呉大羽、方干民、林風眠に師事。同年には音楽を専攻していた、のちの妻になる謝景蘭と出会います。また在学時には先輩であり、のちに油絵画家として名を馳せる呉冠中や朱德群らとも交流を深めていきました。

芸術家の卵として、アンリ・マティスやポール・セザンヌといったフランス画家、世界的芸術家のピカソの影響を受けていった大学時代。1941年に卒業すると、重慶市で早速、初の個展を開催します。その後も重慶を拠点に活動し、1946年には母校の国立杭州美術大学で教師も務めました。1948年に渡仏した無極は、スイスの彫刻家「アルベルト・ジャコメッティ」やスペインの画家「ジョアン・ミロ」らと交友を重ねます。翌1949年には、パリのヨーク・リッツ・ギャラリーで開いた海外初の個展が成功。その後も順調にフランスのメイサロン、ヴェネツィア・ビエンナーレ（イタリアの由緒ある国際美術展）でも盛況を収め、無極の名は欧州に知れわたります。

1950年代の無極は中国とニューヨークを行き来する生活を続け、より活動の場を世界に広げていきました。1970年代以降は再び中国で地盤を固め、1999年に北京で開催された「趙無極60年回顧展」で中国美術界を大いに沸きたてます。一方、プライベートでは渡仏時代より紅酒（赤ワイン）を嗜んでいた無極。2013年にスイスで他界していますが、最晩年までワインをこよなく愛したといわれています。2010年には、ボルドー産の赤ワイン「Pont des Arts」がシリーズ化され、無極の歴代の油絵がボトルを飾りました。そんな無極ですが、近年の話題も尽きません。

2017年秋にクリスティーズ香港（佳士得香港）が主催した「アジア20世紀および現代アートオークション」では、1964年作の油絵「29.09.64」が約66億円（2億香港ドル）と当時の最高記録を樹立。翌2018年秋に香港で開催されたサザビーズオークション（香港蘇富比2018秋）でも、趙無極の最高傑作といわれる油絵「1985年6月至10月」が約71億円（5億1000万香港ドル）で販売されています。これは香港サザビーズオークションの最高記録となり、世界規模のトピックスとして取り上げられたほどです。またサザビーズ社の同年の調査によると、趙無極の作品の平均年間収益率は20.1％で、全出品対象の95.5％が上昇していると報じていたことも話題を呼びました。