蔣兆和の買取価格は高額です

蔣兆和について

1904年、四川省南部に位置する瀘州市で生まれた蒋兆和（蔣兆和）。13歳で両親を亡くすと、16歳のときに上海に出向き、広告やファッションデザインで生計を立てます。その間、独学で素描や油絵、彫刻を学んでいきました。23歳のときには、近代中国絵画の巨匠と呼ばれた油絵画家「徐悲鴻（徐悲鸿）」と出会います。写実的な考えを持つ悲鴻は、兆和が絵画思想の改革路線に踏み切る、きっかけとなった人物でした。その翌年には、悲鴻から学んだ油絵の技術が評価され、南京中央大学教育学部で教壇に立ちます。

26歳で上海美術学校のデッサン画の教授に就任すると、その2年後には上海から南京、あるいは北京や重慶を行き来し、教育活動に従事した兆和。また当時の芸術運動に触発され、進歩的な文芸の創造に携わったのもこの時期です。間もなくして反日戦争が激化すると、自国の救済に向けた宣伝活動に専念。反日プロパガンダのポスターや愛国的な将軍の肖像画を多く描いたといわれています。

兆和は40歳のとき、巨大水墨画「流民圖」を制作。中国で難民する人々の模様を北平太廟（現在の北京市労働人民文化宮）に描きます。100人以上の人物が、高さ2メートル、長さ20メートルという枠のなかに描かれており、当時の矛盾の衝突や社会現象を兆和なりに表現した力作でした。ところが、日本に対する批判と捉えられたことで、駐在していた占領軍によって取り外されることに。

「流民圖」の展覧会では、画家の萧琼と運命的な出会いも果たしている兆和。北京の四大名医の1人として有名な萧龙友の娘・萧琼と1年の交際を経て、1944年に入籍します。その後、中華人民共和国の設立を経て、より中国画教育の改革に尽力していきました。晩年まで中央美術学院の教授や中国美術家協会の理事など、中国芸術界の第一線として活躍し、王明明をはじめとする多くの著名な弟子も輩出しています。