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関良について

1900年に中国広東省広州市で生まれた関良は、幼き頃よりオペラを観賞する環境で育ちます。1917年には、兄と一緒に日本へ留学。薩摩藩出身の洋画家であり、日本で最初の文化勲章受章者の1人である「藤島武二」から手ほどきを受けます。また、夏目漱石の代表作「吾輩は猫である」の挿絵を担当した、洋画家「中村不折」が校長を務める太平洋画会（現在の太平洋美術会）でも油絵を学びました。1922年に中国へ戻ると、その翌年には上海美術学校と杭州国立美術学院（現在の中国美術学院）で教壇に立ちます。1924年に著名な文学グループ「創造協会」にくわわり、編集者として名声を博した関良。1926年には広州に趣いて、広州美術学校と中山大学付属中学校で教鞭をとりました。

1927年の蒋介石による第三次北伐の際、関良は北部遠征軍に参加し、芸術と宣伝の監督を務めます。関良の芸術家としてのキャリアは油絵師からスタートしたものの、1930年代以降は北京オペラのキャラクターを使用した「伝統的な中国の水墨画に焦点を当てたスタイル」に変わります。1937年には、雲南省の省都である昆明を訪れて、国立芸術院の教壇にのぼります。しかし反日戦争の勃発後、関良は教職を辞任。長距離を旅したのち、北西部の洞窟芸術に魅了されました。また、滞在生活を続ける上で、絵画を販売していたといわれています。1942年には四川省成都で初の個展を開催し、中国美術界に大きな影響を与えました。重慶国立芸術大学の教授に就任したのも、この時期です。

1945年になると、中国芸術家協会上海支部の副会長の任命を皮切りに、上海文化歴史研究所の会員に選ばれたり、上海交通大学では芸術研究室に所属したりするなど、国内での著名な芸術教育者としての地位を確立していきます。また、「西洋の絵画技術を伝統的な水墨画に導入した最初のアーティスト」というのが、当時の関良に対する世間の評価でした。特に北京オペラの人物像をモチーフにした作品は、センセーショナルな描写として話題を集めた象徴作です。1957年には、東ドイツのベルリン芸術研究所に展示するための“選ばれし3人の芸術家”として、中国政府より選出されています。1960年代に定住した上海は、関良が1986年に亡くなるまで住み続けた終の棲家として知られる「関良ゆかりの地」です。