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王震について

1867年に中国江蘇省で生まれた王震は、幼少期を上海市の周浦地区で過ごし、のちに上海の歴史に名を残す慈善家として活躍します。その礎を築いたのが、貧困の中で育った周浦での環境でした。そんな王震も13歳になると、銀行員として従事。仕事を通して習得した外国語を生かし、20歳前後から商業界で頭角を現していきます。

1887年に海運業の会社で経理マネージャーに昇進すると、1907年には日清汽船上海支店の顔として貿易事業を成功させていきました。その後も日商大阪郵船の要職や上海製造絹糸社の社長など、上海経済の発展に貢献していった王震。1909年以降は商工会議に相当する、上海経済機関の要職就任や中国同盟会の加入を機に、政治家として活動の幅を広げていきます。また、上海市黄浦区を拠点とする、豫園絵画書道協会の発足に携わったのもこの時期でした。

王震が絵画や書道に専念するようになったのは、1910年頃からといわれています。その背景にあったのが、幼少期に芽生えた慈善の精神です。上海孤児院をはじめとする10以上の慈善団体の設立に携わった王震は、自身の書画を売って設立資金にしていきました。また、公益事業にも熱心で、災害救援基金を集めるために多額の資金を提供しています。一方、貿易商時代から日本との交流も深めていた王震。1923年に発生した関東大震災の際には、上海で救援活動を率先し、諸外国の先駆けとなって日本に物資を提供しました。王震は1938年に生涯の幕を閉じていますが、2017年には「呉昌碩・王一亭四代及び中日合同展」が日本の大分で開かれたほど。王震の作品はもちろん、当日出席した子孫の作品も展示され、話題を集めたのは記憶に新しいところです。